近年、会社に対する社員の貢献意欲の指標として、従業員が会社と感情的に結びつく度合いなどを指す「エンゲージメント」という考え方が注目されてい ます。社員のエンゲージメントの強さは、パフォーマンス向上や離職率低下に大きく関わる指標です。コンサルティング会社の AON Hewitt は、エンゲージメントの高い社員が 1% 増えると、売上高が 0.6% 向上するとの調査結果を発表しています。また NBRI によると、イギリスの化学メーカーにおいては、エンゲージメント向上に向けて経営陣が改革に取り組み、離職率を 38% も減少させた事例があります。
世論調査・コンサルティングサービスを提供するギャラップ社の 2011 ~ 2012 年の調査では、日本の会社に勤める従業員の中で「会社にエンゲージしている」人の割合はわずか 7% であるとの結果が出されました。これは調査対象の 142 か国の平均である 13% の半分程度の数字となっています。また調査の中では、職場で幸福感を全く抱けないような「Actively Disengaged(全くもってエンゲージされていない)」状態の社員は全体の 24% であるとの報告もありました。少子化が進む日本において、有能な働き手の採用・保持はこれまで以上に困難になると予想されています。既存の社員の生産性向 上と離職率低下を実現するエンゲージメントの向上施策は、各企業が本腰を入れて取り組むべき課題と言えるでしょう。
これら社員のエンゲージメントを高めるためには、社員のことをよく知り、会社の風土作りや適材適所への配置などが重要になります。会社の仕組みや組織の形態から起因する働きづらさに対しては、会社全体という大きな枠組みで問題を捉えることが大切です。
厚生労働省が 6 月 26 日に発表した 5 月の有効求人倍率は 1.19 倍と、23 年 2 カ月ぶりの高い水準でした。今後、少子化が進行する日本では、外部からの人材調達はどんどん難しくなり、既存社員のパフォーマンスをどうやって上げるかが 重要な論点となります。そこでセールスフォース・ドットコムでは、これまでのノウハウを結集し、人事サービスを社内に効果的に展開するためのプラット フォームである Salesforce for HR を発表しました。人事サービスは社員のエンゲージメント向上の要であり、高品質な人事サービスを提供することで更なるエンゲージメント向上を図ることができます。
社員エンゲージメント向上への施策は、既存社員のパフォーマンスを高め、組織をより進化させるためにぜひとも取り組みたい課題のひとつです。
【参考文献】