平等(イクオリティ)は、Salesforceが大切にするコアバリューの1つです。インクルーシブな企業文化を目指して人種やLGBTQ+を含む性別を問わずだれもが自分らしく生き生きと働ける職場づくりに取り組んでいるほか、社員ボランティアで構成される社会で平等を促進するイクオリティグループへの支援や平等教育への投資も行っています。
2021年6月に開催されたSalesforce Live: Japanでは、男女の平等と女性活躍をテーマに「多様な人材を活かす組織を作る!デジタル時代のキャリア形成を語ろう」と題し、大日本印刷株式会社(以下、DNP) 執行役員 人財開発部・ダイバーシティ推進室 担当 宮間 三奈子氏と、Salesforceで女性活躍を推進する執行役員 セールスフォース イノベーションセンター長 杉山 真理子の対談が実現しました。本ブログにてセッションのポイントを抜粋してご紹介します。

 

杉山:本日はよろしくお願いします。まずはお互いのキャリア紹介から始めましょう。私は、外資系IT企業の製品SEがキャリアのスタートでした。その後、よりお客様に近い仕事をしたいと望むようになり、製品インストラクターを経て、ビジネス寄りのキャリアを志向するようになりました。転機になったのが育児休暇でした。仕事復帰の場面でキャリアの選択肢が2つあった時、自分のやったことのない方を選ぶようにしました。そのおかげで、キャリアを広げることができたと思っています。現在はSalesforceで女性活躍を促進する従業員主体のグループ「ウィメンズネットワーク」のリーダーを務めています。

宮間氏:私は男女雇用機会均等法の1期生としてDNPに入社しました。DNPというと紙への印刷というイメージが強いかもしれませんが、情報コミュニケーション部門や生活・産業部門、エレクトロニクス部門など幅広い事業領域に展開しています。入社後配属された研究所では汎用機からPCへと様々にシステムが変化しているタイミングでした。子育てをしながらの共働きだった時期に自身の体験をベースに画像処理システムの研究に着手し、次にそのシステムを自ら売りたいということで企画開発に異動しました。その後はまた研究開発に戻り、管理職になりました。その後、本社に移って全社視点を持って採用・研修を行う部門を任されるようになりました。現在はダイバーシティ推進も担当しています。

 

キャリアの転換や役割を広げていくときに大切にしていたこと

杉山:開発しただけでなく、それを自分で売りたいというエネルギーはすごいですね。キャリアの転換や役割を広げていくときに大切にしていたことについて伺っていきましょう。宮間さんも一期生であった当時は周囲にロールモデルが少なかったと思います。どのような点を大切にされていましたか。

宮間氏:入社した際は、女性の先輩社員はほとんどいませんでしたし、ロールモデルという言葉もありませんでした。そのため、当時の日本より少し先を行っていた米国のビジネスウーマン向けの翻訳本が役に立ちました。『ビジネス・ゲーム』(初版1993年。現在は光文社知恵の森文庫より刊行中)という本があり、組織で働く上での心構えや、上司や同僚の発言の裏の意図などを記した部分が新鮮で何度も読み返していました。

杉山:ロールモデルと聞くと人を探してしまって、それで行動を狭めてしまうのかもしれませんね。本からでも学べるという視点ですね。

宮間氏:映画やドラマでもいいですよ。「素敵だな!」と思えたことはまねをしたらいいですし、「ちょっとどうかな」と感じるシーンからは、自分はそれを控えるようにできます。視点を変えてみれば、あらゆることから学べると思います。

 

企業として多様性への取り組み

杉山:色々なところから「共感する力」が大切なのかもしれませんね。様々なことを感じて、それらをパーツとして蓄えておくことがキャリアを広げるために重要になってきそうです。では、チームや組織ではどうでしょう。弊社でもダイバーシティは大切にしています。社会の中には多様な人がいる、その状態を企業の中でも保つことによってイノベーションを起こし、お客様の成功や信頼されるパートナーになる事が出来ると信じています。DNPさんでは企業として多様性にどのように取り組まれていますか。

宮間氏:社員1人ひとりの強みや違いを活かし、組織の力を最大限にしていくことが価値の創出につながると考えています。そのために、ダイバーシティ施策は3つの柱で展開しています。1つ目は、多様な人材がそれぞれにキャリアを高めていく人材育成としての「キャリア開発」。2つ目は、それぞれが働きやすい職場づくりとしての「働き方の変革」。3つ目は、多様な人材が活躍できる環境を作る点での「マネジメント・意識改革」です。

 


 

 

杉山:3つの円が重なり合っているという点が素晴らしいと思います。少し深掘りして伺います。女性のキャリア形成について教えてください。世界経済フォーラムのジェンダーインデックスにおいて、日本は156か国・地域中120位とまだまだ課題が残っています。そして、日本では女性の管理職はまだまだ少ないと感じます。DNPさんが実施している女性リーダーを増やす取り組みで何か特徴的なことはありますか。

宮間氏:弊社はメーカーですから、以前は女性の少ない職場でした。しかし、最近は大卒採用の4割は女性です。育児休業制度も整ってきて、平均勤続年数は着実に延びていますが、女性リーダーの数は依然課題です。そのため、ジェンダーイクオリティを実現するためのプログラムを実施しています。女性リーダー候補者向けの「女性リーダーを育成するプログラム」と、本部長クラスを対象とした「D&I推進リーダー育成プログラム」です。
「女性リーダーを育成するプログラム」ではキャリア形成の考え方を深く知り、将来の目標を言語化するなど、さまざまな角度から学んでもらいます。将来マネジメント職になった場合、部下のメンタリングも大切になりますから、そうしたスキルも身につけてもらうなど実践的な内容です。自信を持ちきれない人の背中をちょっと押してあげるようなプログラムですね。約半年間のプログラムを経て、参加者の7割が3年以内に課長職に就いて組織を率いています。
また、女性リーダーを増やす事を自分ごととして認識いただくという点から男性管理職へのアプローチも重要です。「D&I推進リーダー育成プログラム」は自身の部門でのダイバーシティ施策の立案や運営のスキル、さらに女性リーダーのメンターとしてキャリア支援をおこなうというクロスプログラムになっています。

杉山:女性だけの問題ではなく、全員でお互いが働きやすい環境づくりのために当事者として相互理解を深める機会が重要ですよね。次に、全社での取り組みについても教えてください。

宮間氏:ダイバーシティウィークを2021年2月に実施しました。「違いを楽しむ」「違いこそが価値につながるのだ」という気づきを持ってもらうためのカリキュラムです。「ダイバーシティ川柳」では共感できるようなものもたくさんありましたし、「ダイバーシティ絵本」では一人ひとりの違いの意味を学べるような貴重なコンテンツになっています。さらに会社のトップからのコミットメントと合わせて、役員座談会では各部門の役員から気づきなどを積極的に発信いただきました。

 


 

 

これから改革に取り組まれる方へのメッセージ

杉山:すばらしい取り組みですね。私はイノベーションセンターの仕事で、DXが進まないという相談をよく受けます。多くの場合、その原因はテクノロジーではなく、働く人や制度、働き方、変化を受け入れる風土など、働いている人の意識の影響が大きいと感じます。人材が改革のエンジンになっているわけで、ここをきっちりと創り上げていくことが大切だと身にしみています。最後に、これから多様な人材が輝いて働く組織を作られる方にメッセージをお願いします。

宮間氏:多様な人が輝くチームを作るために必要なのは、メンバーの話をよく聞き、その人への期待を伝え、機会を提供して、鍛えることです。私は新入社員時代の上司から、自分の“金棒”を作ることの重要性を学びました。「金棒」は、“鬼に金棒”の金棒です。金棒は簡単に手に入りませんが、成長の機会がありそこで鍛えることで、自分の金棒になります。「聞く、期待、機会、鍛える」の4つの「き」がとても大切になるのです。改革に取り組まれる方にも「どんなときも、正しいことやすべきことに注力していく」とシンプルに考えて取り組んでもらいたいです。

杉山:宮間さん、ありがとうございます。新しいことを始める際、やはり不安を感じてしまうものです。新しく学ばなければならないことも多いですし、人間関係も変わってきます。居心地の悪さを感じることもあるかもしれませんが、踏み出すことが大切です。小さな一歩でもいいので、少し前に進むだけで、居心地は徐々に良くなり、成長につながると思います。
たとえば、コミュニティグループに参加するのも良いかもしれません。Salesforceには社内、社外に多くのコミュニティが存在しています。私たち自身がリードしているものもありますし、Trailblazerとして活躍されているSalesforceのユーザー様やパートナー様がリードしているコミュニティもあります。コンテンツも多様で、製品を学ぶものだけでなく、地域に根差したものや、社会貢献など多様なテーマがあり、今回お話させていただいた女性のキャリアを推進するコミュニティもあります。
Trailblazersイベント情報サイト「Salesforce Trailblazers Event」で公開していますので、興味を持たれた方はぜひご参加いただきたいです。本日は、ありがとうございました。

 

 

登壇者紹介

  

大日本印刷株式会社
執行役員  
人財開発部・ダイバーシティ推進室担当
宮間 三奈子 氏

 

株式会社セールスフォース・ドットコム
執行役員
セールスフォースイノベーションセンター長
杉山 真理子

 

 

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