緊急事態宣言が延長され、医療従事者をはじめ多くの人々、産業が新型コロナウイルス感染症との戦いをいまだ強いられている中、「芸術」にできることは一体なんでしょうか。

作家・村上春樹氏の呼びかけにより、2月14日バレンタイン・デーに「TOKYO FM開局50周年記念 村上春樹 produce MURAKAMI JAM~いけないボサノヴァ Blame it on the Bossa Nova~ supported by Salesforce」が開催されます。

コロナ禍において、ミュージシャンにとっても音楽ファンにとっても、生の演奏が楽しめるこの貴重な機会をSalesforceはメインスポンサーとして後押しします。

いま、音楽が果たす役割とは何か。この状況を乗り越えた社会で音楽はどうあるべきか。なぜSalesforceがそれをサポートするのか。本イベントより一足先に、MURAKAMI JAMで音楽監督を務めるジャズピアニスト・大西順子さん、日本におけるボサノバ音楽の第一人者・小野リサさん、歌手の坂本美雨さんによる特別鼎談をお楽しみください。

 

 

音楽を通して改めて感じる

人と人とのつながり

(写真:ジャズピアニスト 大西順子さん)

 

コロナ禍において、多くの人々がそれぞれの立場で不自由に身を置いています。観客の動員に制限がかけられている音楽業界は、もっともその影響を受けているかもしれません。しかしだからこそ、改めて音楽を通して感じることもあるそうです。

 

坂本さん:去年の秋ぐらいからちょっとずつライブ活動とかも社会的に、日本全体で復活してきましたけど、演奏はされてましたか?

 

大西さん:少しずつですね。そういうライブハウスで、お客様を人数制限しながら、ちょっとずつやってますね。

 

坂本さん:そんな中で、やっぱりご自身もそうだしお客さんもこれを求めていたな、など大事さを再発見するようなことってありましたか?

 

小野さん:そうですね、長い間、演奏していなかった分、ステージに立ったときの喜び、あとは感謝の気持ちと、そんな嬉しく幸せな気分になりました。演奏を聞いてくださる方が微笑んでくださったりしたときに、ああ良かったなってすごく感じました。

 

坂本さん:本当ですね。大西さんはいかがですか?

 

大西さん:そうですね、みなさんマスクして、本来なら歓声をあげるところを一生懸命、拍手だけで。常連さんの中にはプレートにBravoって書いてくださる方とかいらっしゃって。今の状況だと、その場に来ていただけるだけでも、けっこうなチャレンジじゃないですか。でも来てくださるお客さんがいるので、音楽という形をとっていますけど、人と人のつながりっていうことなんだなって思いますね。

 

坂本さん:昨年は、本当に想定外の誰も予測できなかったことが起こりましたけど、この困難を球規模で乗り越えたあとの社会というのは、どうなると思われますか?

 

大西さん:これは難しいですね。

 

坂本さん:でもきっと音楽、生演奏というのは絶対に必要なものとして残るんじゃないかと思います。

 

小野さん:今は孤独ですごく距離感を持たないといけない分、人と人がもう少し近い距離に感じられるような、音楽にしていけたらなって、今ふと思いました。

 

大西さん:さらに音楽に力をつけたい。すごく具体的には言えないんですけど、究極、音楽にどうあって欲しいかと考えると。今はまだ、そういうこと考える時ではないですが、コロナが終わった後に、そうなったらいいなって思います。

 

「Give and Give」の精神が

社会を明るくしていく

(写真:ボサノバ音楽の第一人者・小野リサさん)

 

「さて、何が世界を救うだろう?」。本ライブの根底にあるのは、村上春樹氏のこの問いかけでした。そしてその問いは、ビジネスを通じて社会をより良くしていこうとするSalesforceが常に考え続けていることでもあります。コロナ禍だからこそ、苦しい日常だからこそ、いま自分たちにできることは何か。ビジネスと社会貢献を両立する「トレイルブレイザー」の精神が、まさに必要な時ではないでしょうか。

 

坂本:今回のMURAKAMI JAMはSalesforceが協賛してくださっています。Salesforceが大事にしている言葉として「トレイルブレイザー」というものがありますが、音楽において社会に対してどんなことが可能だと思いますか?

 

小野:私たち音楽家はやっぱり演奏することで、それをみなさんの毎日の生活の中に「Give」する。「Give and Take」じゃなくて「Give and Give」できればと思います。

 

坂本:Give and Give?

 

大西:そうですね。「Give and Give」ですね。音楽そのものを考えると、やはりどれだけ人を慰められるか、与えるものでしかないんですよね。一方的にこっちは発信するわけですから。それを受けとめる側が、少しでも癒されればそれで本当はそれで成立してしまうわけですよね。もちろんすべての人ではないですけど、聞いている人が、一人でも多く慰められたと癒されたと。それが音楽の形状が激しいものであろうが、ゆったりしたものであろうが、悲しげなものであろうが、どんな種類であってもなにかしら、心に届いて、その瞬間なにか心に響いた瞬間がちょっとでも私たちの音で作ることができたら、結局本望なんですよね。そういう意味では「Give and Give」ですね。

 

(写真:歌手 坂本美雨さん)

 

坂本:社会貢献でいうと硬いイメージがありますけど、社会を作っているのは、人間ひとりひとりで、結局は隣人のことを考える、自分の周りの人をどう大事にできるかだなって思うので、きっとそこで音楽が、本当に力となると信じてます。

 

大西:そうですね。音楽を聞くことでお腹がいっぱいになったりするわけではないですけど、でもやっぱりないと寂しいですよね。絶対ね。