「実店舗×データ活用基盤構築」で顧客体験価値向上戦略を加速させる新生銀行様では、プロジェクト実施にあたりSalesforceのアーキテクトが常駐し全力でアドバイザリーを行うSuccess Cloudのメニューを導入されました。
2018年7月に開催されたSalesforce Summer 2018セッション「新生銀行事例:データ活用による顧客コミュニケーション最適化〜Salesforce と Success Cloudの活用事例〜」において、新生銀行 リテール営業統轄部CRM担当営業推進役の松永美生氏に同行での戦略やプロジェクト推進について語っていただきました。
「新生銀行」という社名には、姿勢・発想・行動のすべてにおいて新しく生まれ変わろうという私たちの意志と、日本におけるまったく新しいタイプの金融サービスを目指す決意が込められており、新生銀行として再スタートした2000年以降、ATM利用手数料の無料化やホテルのラウンジのような窓口といった革新的なサービスを打ち出しました。18年目を迎えビジネス環境が厳しくなる昨今、商品やサービスの更なる差別化のための一手として取り組むのが、個人のお客さまとの一層のリレーション醸成です。 全国約30店舗の人の力と100万を超えるインターネットユーザーのデータをテクノロジーで有機的につなぎ合わせビジネス基盤とすることで、お客さまのニーズにマッチした商品を店舗もしくは電話、チャットといったお客さまの好むチャネルで提供することが可能になります。また、オンラインで顧客情報を把握し、AIやロボティクスの技術を利用して、コンサルティングサービスの合理化、効率化を図り、店舗に加えてリモートチャネルを利用すれば、コンサルティングの潜在顧客層にもアプローチすることもできます。
この活動を支えるのが、Salesforceプラットフォームです。営業業務でSales Cloud、コールセンター業務でService Cloud、デジタルマーケティングでMarketing Cloud、そして経営情報の分析ツールとして Einstein Analyticsを活用しています。 リテールバンキング事業において私たちが目指すのは「顧客タッチポイントの最適化によるビジネス効果の最大化」です。このビジョンは「営業プロセスの最適化・定着化」「コールセンタープロセスの改善」「デジタルマーケティングの推進」という3つのプロセスで成り立っています。
各プロセスの業務は多岐にわたり、個別に開発を進めると数年がかりになってしまうため、各プロセスのスコープを短くし、なおかつ並行して進めるスライド型で開発に臨みました。スライド型にすることで、顧客ポイント最適化というゴールを段階的に達成できるだけでなく、開発スキルや知見を次のプロセスに活かすことができます。
最初に「営業プロセスの最適化・定着化」に取り組みましたが、開発が終わり導入に着手するタイミングで営業部門から“ダメ出し”がきました。「開発したサービスが現場のニーズにマッチしておらず、使い物にならない」というのです。設計から見直しを図るため、導入したのがSuccess Cloudのアドバイザリーサービスです。Salesforceのアーキテクトが常駐し、ビジネスの現状や戦略を理解したうえで、顧客中心の設計やイノベーションの実現を支援してくれるということでしたが、思った以上に泥くさいところまで入り込んでいただきました。新しいサービスは標準化を軸にしましたが、現場のやりたいことと標準化は決して反目するものではありません。アーキテクトの方が丁寧に現場の声を吸上げてくれた結果、そのニーズを満たしつつも、業務の標準化を促す仕組みを実現することができました。社内には何かしらのしがらみが存在しますが、Salesforceの機能やCRM業務を熟知しているアーキテクトの方が第三者として提案するからこそ社内の人間が耳を傾けてくれることもあり、組織のタテとヨコをつなぎ合わせる“接着剤”のような役割も果たしていただいたと言えます。
プロジェクト実施にあたり約1年2カ月にわたりアーキテクトのサポートをご利用いただいた新生銀行様。現在、Salesforceの定着化スコアで、89点という高い数値で、顧客タッチポイントの最適化に向けた基盤が整いつつあります。
プロジェクト成功の秘訣はトップマネジメントのコミットメントを引き出したことです。顧客タッチポイントの最適化は単なるシステム更新ではありません。顧客コミュニケーション戦略を推進し、ビジネス効果の最大化を図るというミッション実現のための施策。後戻りはしないことをトップメッセージとして組織に浸透させました。
その一方で地道な活動も大きな成功要因です。Salesforceの利用率を把握し、利用が芳しくない部署にはその利用を積極的に促しました。現在は毎月改善機能リリースや更新を行い、最新情報を発信しています。現場の声がスピーディに反映されるシステムという発想に当初現場は半信半疑でしたが、取り組みを継続することで意識も変わってきました。現場の声が確実に反映されるので、「みんなで作るシステム」いう意識が高まっているのを感じます。新しいサービスがリリースされると「これを使えば、こういうデータの活用ができるのではないか」と積極的に提案してくれる人材が各部署に最低一人はいるという状況になりました。
今後はこの基盤を軸に顧客タッチポイントの最適化に向けたさまざまな施策を実施し、新しいことに次々チャレンジしていく「実験型ビジネス効果創出モデル」の構築を推進していきます。
新生銀行事例:データ活用による顧客コミュニケーション最適化〜 Salesforce と Success Cloud の活用事例〜
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