ビジネス分野におけるITの進化とそれにともなうeコマースの普及、顧客と企業とのコンタクトチャネルの多様化など、近年のビジネスを巡る環境は著しい変化を続けています。こうした現状を背景に、企業において着実に重要性と存在意義を増しているのが「コールセンター」です。
コールセンターは、かつては多くの企業で問い合わせ対応のためのコストセンターとして、設置意義がともすれば消極的にとらえられていました。しかしネット通販などの普及によって対面販売が減少している現在、企業が顧客とダイレクトにつながることができ、貴重なVOC(顧客の声)を収集できる拠点として、その重要性が急速にクローズアップされるようになりました。
とくに日本では、経済の成熟で消費者ニーズが多様化するのにともない、企業は単純に製品やサービスの質をアピールするだけでは、厳しい競争に勝つことが難しくなりました。顧客とダイレクトにつながるコールセンターは、エンゲージメントの端緒をつかみ、“コト消費”へとつなげるための拠点としての役割も担うようになったのです。
こうしてコールセンターで得られる情報の質や、その情報の活用法が、企業の長期的な成長を左右する大きな要素となってきました。多くの企業で、経営陣がその重要性を認識し始めているにもかかわらず、ほとんどの企業が自社のコールセンターで、そのための機能を発揮できるシステムや体制を構築できていません。
その理由は、長らくコストセンターとして運営してきた同組織を、「プロフィットセンター」として改革するには、具体的にセンター運営のどういう点に問題があり、それをどのように変えれば良いのかが見えていないからです。
“変革できないコールセンター”にはさまざまな課題を抱えています。働く人材の質、彼らと運営サイドとの適切なコミュニケーション、ビジネスの変化にすばやく対応できる柔軟なシステムなど、多岐に及びます。
今回、Salesforceでは現状のコールセンターの問題点を探るため、全国のコールセンターの運営者・管理者を対象とした大規模なアンケート調査を実施しました。eBook「運用者アンケートで見えてきた『成功するコールセンター』運営10のポイント」では、アンケートの結果、浮き彫りになった旧来のコストセンターから変革できないコールセンターに潜む10の問題点を解説しています。
自社のコールセンターの抜本的な改革を望むのであれば、まずこの10のポイントをすべてチェックして、そこから体制やシステムの改善を進めていくことが必須の作業と言えるでしょう。10のポイントは以下の通りです。
近年のコールセンター運営において、大きな課題の1つは「人材の離職が多い」ことです。その背景を探るために、ヒアリングなどによってコミュニケーターの不満や離職の意思を察知し、職場環境や業務内容を改善する有益な情報を得る機会を設けているかどうかなどを調査しました。「コミュニケーターは顧客対応のために複数のシステムにログインする必要がありますか?」の問いには、下記の図にある通り、「ある」の合計が54.8%と過半数を超えています。5つ以上のログインを要するシステムを利用しているという回答も15%弱となっています。そのほか、アンケート結果からは、コミュニケーターが利用している顧客管理システムにどの程度満足しているかもわかりました。
コミュニケーターが、ただ目先の仕事をこなし続けて疲弊する事態を避けるために、顧客とのコミュニケーションにかかわる定量的なデータを効率的に把握・分析しているかどうか、また的確なKPIを設計し、それに則ってPDCAサイクルを回しているかどうかを調べています。
コールセンターで得られた顧客の不満やニーズ、商品・サービスの開発や改善につながるインサイトなどの有益な情報を、コミュニケーターとマネージャー・上層部が情報共有できているかどうかを調べました。適切な仕組みやシステムの導入がなされていないことによって、貴重な情報が“宝の持ち腐れ”となっていないかどうかが重要な点です。
コミュニケーターの能力を最大限に引き出すために、適切なタイミングでフィードバックを行っているのかどうか、そしてそのために、管理者それぞれの属人性によらないフィードバックの仕組みがあらかじめ導入されているかどうかを調べています。また、コミュニケーターによる入力ミス・操作ミスの多発を防止する仕組みの有無についても調べました。
顧客や見込み顧客との直接的接点であるコールセンターにおいて、顧客管理システムは不可欠な仕組みです。顧客管理システムの「使い勝手」や「カスタマイズへの柔軟性」は、コミュニケーターの士気に影響し、業務の発展を左右する要因となります。システムの改善やカスタマイズに関して、現場の判断でスピーディに行うことができているかどうかを調べました。
コミュニケーターのスキルにばらつきがあり、問い合わせのたびに対応の質に差があると、顧客はフラストレーションを感じ顧客満足度の低下につながります。スキルの標準化につながり、業務効率を飛躍的に高めるFAQシステムの整備状況や改善のための仕組みの有無について調べました。
顧客のITリテラシーが高まっている中、コールセンターでFAX、Web、email、チャット、IVRなど電話以外の顧客応対チャネルの導入状況について調べました。とくに企業活動で重要な役割を果たすようになったSNSに関しては、個別SNSでのコミュニケーションがどれほど進んでいるのかを調べています。
近年では企業サイトやコミュニティサイトなどで、製品情報やFAQなどを充実させ、顧客が自己解決できる手段を提供することで大幅な業務効率化を図る方向性が定着しつつあります。コミュニケーターの負荷と顧客の手間を軽減するこの仕組みの導入状況を調べました。
「入電のあった顧客へ他の商品やサービスをコミュニケーターが勧める仕組み」や「顧客情報をもとにアウトバウンドコールで他の商品やサービスを勧める仕組み」の有無など、顧客データの積極的な解析・活用によってプロフィットセンターへの成長を促進する体制が構築されているかどうかを調査しています。
VOCの収集・分析によって得たインサイトを、企業内の他の部署や経営層と共有することで、顧客エンゲージメントを高める経営戦略を策定できるような「先端的プロフィットセンター」を標榜できる体制が確立できているかどうかを調べています。
以上の「10のポイント」について、eBook「運営者アンケートで見えてきた『成功するコールセンター』運営10のポイント」では調査内容と結果の分析に関する詳しい説明があり、それぞれの解決策についても具体的に指導しています。詳しくは下記のeBookをご覧ください。