Salesforceの次世代ユーザーインターフェース(UI)「Lightning Experience」が登場してから2年。アップデートを重ねるごとに新機能の追加や性能強化が図られ、そのメリットをすでに多くのお客様に実感いただいています。一方、まだ旧インターフェースのSalesforce ClassicからLightning Experienceへの移行を躊躇されている方がいらっしゃるのも事実。

「今困っていることもなく、慣れ親しんだClassicから移行するメリットを感じない」

「独自にカスタマイズしている場合には移行できないのでは?」

そんな声も聞こえてきます。しかし、「今後、Salesforceの魅力を最大限享受していただくのであれば、Lightning Experienceへの移行は必須」と語るのは同製品のプロダクトマーケティングを担当するセールスフォース・ドットコムの伊藤 哲志。今回は、「Lightning Experience」への移行の魅力と移行を阻む誤解について解説します。

写真:セールスフォース・ドットコム マーケティング本部 プロダクトマーケティング シニアマネージャー 伊藤 哲志

「ページ遷移型UI」か「アプリケーション型UI」の大きな違い

なぜ、Lightning Experienceに乗り換える必要性があるのでしょうか? この問いに、伊藤は「そもそも企業の生産性と顧客の満足度を高めることを目的にしているのがSalesforceであり、Lightning Experienceはまさにこれを体現するUI」と言い切ります。

というのも、これまでのClassicとLightning ExperienceのUI設計では、そもそもの発想が異なります。それは、PCをベースとしたページ遷移型のUIかモバイルをベースとしたアプリケーション中心のUIかという点です。

「ClassicのUIは、Salesforceが登場した当時としては使いやすく洗練されたものでしたが、PCをベースとしたページ遷移型UIでは限界があり、一連の操作を行う際にページに分断されてしまう状況が発生します。一方、Lightning Experienceは当初モバイルをベースとしたUIとして登場し、その技術をPCに移行したものです。コンポーネントを組み合わせる発想のUIなので1つの画面で作業が完結できるように設計されています」

おそらく、皆さんも経験したことがあるはずです。プライベートではスマートフォンで快適に操作が行えるのに、業務システムとなると途端に非効率になる。業務システムではあちこちの画面を開き、あちこちの数字を確かめながら作業を重ねていく。こうしたUIの問題は、単なる操作性の快適さを問うものではなく、ビジネスの生産性に直結する課題に他なりません。

「Lightning Experienceは、そんな業務システムのUIの課題を解消しています。まさに、Salesforceらしさを実現するために必要不可欠なUIと言えるのです」

秀逸な「カンバン(Kanban)」表示と驚異のグラフ作成

では具体的にClassicと比較してどれほど操作性が異なるのでしょうか。象徴的な機能の1つに「カンバン(Kanban)」表示があると伊藤は実際にLightning Experienceの画面を操作しながらデモを行いました。

まず、商談フェーズの画面を出しながらClassicでお馴染みのレコードを表示。ここでカンバンに変更するボタンをクリックするだけで、各フェーズがカンバン形式で並び、一覧として視覚化できる様子を紹介しました。しかもカンバン表示を使うと各商談のフェーズをドラッグ&ドロップで簡単に変更できます。また案件を移動させるだけで各フェーズの金額がその場で変わっていくのが確認できました。Classicで進捗状況に変更を加える場合にはレコードを開くなど、より多くの操作が必要となりますが、Lightning Experienceでは1画面で直感的に全体の把握が可能になります。

「SalesforceのようなCRMツールは、いかに新鮮で正確なデータが入力されているかが重要です。いかにストレスなく、いかにスムーズに情報を入力できるかがシステム全体の質を変えていくのです」

また、Lightning Experienceではグラフ作成機能も大幅に強化されています。メイン画面からワンクリックでグラフを作成したり、円グラフから棒グラフなど種類の変更をしたりといった操作も、ワンクリックで可能になります。デモでは、商談フェーズの同じ画面の中にグラフが表示され「フェーズ別パイプライン」から「取引先別パイプライン」に切り換える様子が実演されました。

(動画:商談フェーズにおけるカンバン表示とグラフ化のデモ)

「グラフ化に関しては、Lightning Experienceに移行したユーザー様からとくに高い評価をいただいています。これまではグラフを変更するとなればエディット画面に戻って変更し、グラフが生成されるのにもタイムラグが生じていました。しかしLightning Experienceでは、タイムラグなく瞬時にグラフを切り替えることができ、しかも質の高いビジュアルで確認できるため、会議でも役立っているといった話を聞いています」

移行済みのユーザーは着々と成果&新機能を利用

では、Lightning Experienceに移行することで、どの程度生産性が向上するのでしょうか。すでに移行したユーザーへのアンケートによると、「コラボレーションの増加=40%」「パイプライン管理の時間削減=31%」「レポート作成の時間削減=29%」などを筆頭に、トータルで41%の生産性が向上したという結果が出ています。

「現在の環境で十分と感じていただけるのは悪いことではありませんが、成長するためには変化がともなうものです。Lightning Experienceという変化により、お客様のビジネスにさらに効果的な仕事の在り方をもたらすはずです」

さらに、これからSalesforceに追加される新しい機能を利用できることも、Lightning Experienceに移行するメリットです。その1つは、現在注目を集めているAI(人工知能)だと言います。

「2018年夏の登場を控え、期待が高まっているEinstein Prediction BuilderもLightning Experienceでの利用を想定し開発が進んでいます。AI機能を利用する予定がないにしても、年3回のバージョンアップも当然ながらLightning Experienceに標準を合わせて様々な新機能が開発されていきます。いつでも最新のテクノロジーを享受できるクラウドの強みを最大限活用するのであれば、Lightning Experienceへの移行をおすすめします」

「移行したら戻れない」は誤解

このように、数々のメリットがあるLightning Experienceですが、移行をためらうにはどのような理由があるのでしょうか。そこには1つ大きな誤解もあるようです。

「移行を躊躇する方の中には、いったんLightning Experienceに切り替えると、Classicに戻れないという誤解をされている方も少なくありません。実は、Lightning ExperienceとClassicは簡単に切り替えることができます。どうしてもClassicでしたい操作はClassicで行うことも可能です。切り替えを躊躇しているとしても、まずは一度Lightning Experienceの生産性の高さを実感していただきたいのです」

また、移行になかなか踏み切れない理由として、Classicで独自のカスタマイズを加えているために、Lightning Experienceに簡単に切り替えられないというものもあります。確かにカスタマイズ状況によっては、Lightning Experienceで動作しないものもあります。その場合は前出の通りClassicと画面を切り替えて併用することが可能です。

管理者向けに提供されている「Lightning Experience Readiness Check」では、現状機能が移行できるかどうかの自動診断をはじめ、パイロットユーザーの選定から、移行ステップのコントロールをサジェスチョンするアセスメントを実施できます。

「Classicから移行したら戻れないといった誤解をお持ちのお客様は、ぜひ一度Lightning Experienceを試していただきたいです。単なるUIのバージョンアップとは異なり、あくまでも生産性を向上させる新ツールとしての威力を実感いただけると思います」

Lightning Experienceの詳細はこちらLightning Experience の基本にて、ご体感いただけます。